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福島第一原子力発電所見学会

1月6日、
白河高校の生徒有志で活動する
「震災復興しらかわゼミ」の活動の一環として、
福島第一原子力発電所・廃炉資料館見学会を実施しました。

1、2年生の生徒34名と引率教員等3名が参加。
間もなく震災から14年、後世に伝えるための活動です。

「震災復興しらかわゼミ」の生徒たちは、
東日本大震災と原子力発電所事故を風化させないため、
県内外のいろいろな場所に赴き、現地の状況を自分の目で見て、
他校の生徒たちと情報共有や意見交換を行っています。

今回の参加者は、しらかわゼミの生徒以外にも
「総合的な探究の時間」で震災関連の探究をしている生徒や、
今後の進路活動を鑑みて原子力発電所の現状を知りたい
という生徒もいました。

廃炉資料館。もともとは東京電力第二原子力発電所のPR施設として作られたもの

学校出発は6:50。
まずはバスで富岡町にある廃炉資料館に行きました。

1時間ほど館内の見学をしました。
あの日、原子力発電所では何が起こったのか、
どのような経緯で原子炉内の燃料がメルトダウンしたのか、
水素爆発や放射線の放出に至った経緯、
その時作業に携わっていた作業員の方の証言などを、
動画を交えて改めて学びました。

今回、担当していただいた小川さん。
施設内見学についての注意事項の説明を聞きます
館内の見学。
各号機が今どのような状況であるかを確認
職員の方が触っているのは燃料集合体の実物大模型
震災時、中央制御室での様子を再現したVTR
原子炉内のデブリの調査をどのように行っているのか、実物大のシミュレーションで再現


※ここからは、撮影機器等持ち込み不可となり、写真等はありません。

その後、東京電力のバスで
第一原子力発電所の施設内に向かい、施設内の見学。

現在は臨時の入構証と専用の線量計を身につけるだけで入る事が出来ます。

管理棟で手続きを済ませると、構内の移動は専用のバスで。
構内には大型のタンクや多核種除去設備(ALPS)、
廃炉工事に必要なもの、作業で生じた廃棄物等が置かれています。

海側に向かってまず、1号機前で降車。1~4号機が見渡せます。
地下水バイパスや凍土遮水壁の設備、各号機の現状、
今後の作業予定等の説明を受けて、記念撮影。
爆発の傷痕が残っているところもありましたが、
今後の廃炉作業に向けて、建屋を覆うようなカバーが設置されています。(カバーをすると中の様子は見られなくなってしまいます。
でも、それはむしろ廃炉作業が進んでいる証拠。)

再びバスで移動し、次の降車ポイントは
双葉町と大熊町のちょうど境になっている海が見渡せるポイント。
ここからは海側から見た発電所の様子だけでなく、
防潮堤や処理水放出の施設等を見る事が出来ました。
管理棟に戻り、最後にALPS処理水についての説明を受け終了。
短時間の滞在なので、私は0.01μ㏜程度の被ばく量でした。
 
※ここからは再び撮影可
 
廃炉資料館に戻って、昼食後はグループワークを通して
お互いに感じたことや疑問に思ったことについて
意見を出し合い、全体で共有。

「原発はニュースなどで見るだけで受け身だった。」
「廃炉作業が思ったよりも進んでないことに驚いた。」
「私は全く進んでないと思っていたが、燃料デブリの取り出しなど徐々に見通しが立てられるようになってきたことがわかった。」
「廃炉作業の完了までに40-50年かかって長いと感じていたが、それは安全性に配慮して慎重に作業しているからだと分かった。」

生徒の感想は様々でした。

学年の垣根を越えて意見交換
実際に自分の目で見たからこそ「自分ごと」としてとらえる事ができ、素直に思ったことを発表
津波の災害リスクについての質問
「あの高さの防潮堤で安全なのか?」

質疑応答では、廃棄物の処分の仕方や、
廃炉作業完了後の敷地の扱いの質問が出ました。

高レベル放射性廃棄物の最終処分先の見通しが立たない、
廃炉後の敷地の活用法が決まっていないなど、
廃炉にはまだまだ多くの課題があるとの回答。

進んでいないように見えて、
安全に配慮して一歩ずつ廃炉に向けて進んでいる現状を改めて学びました。無人ロボットによる燃料デブリの取り出しなど、
世界最先端の技術が結集しています。
この地が科学技術の先端で世界的研究の一大拠点になることを望みながら、
資料館を後にしました。

参加した生徒には、福島第一原子力発電所事故の教訓を
福島県民の教養として語れるようになってほしい、
また間接的であれ直接的であれ、
福島のために自分にできることは何かを考え抜いてほしいと思います。
参加して現状を見たことが、「自分ごと化」の第一歩だと思います。
この経験が、語り部としての活動や、
将来の研究や探究活動に生きてくれることを期待します。